トリカゴ(辻堂 ゆめ著)を読んだ感想

トリカゴ
トリカゴ

ざっくりあらすじから。産休戻りの蒲田署の刑事「森垣里穂子」は、後輩の育成に励みながら日々の業務をこなしていた。そんなある日、盛り場で殺人未遂事件が起き容疑者の若い女を取り調べることになったのだが、容疑者は無戸籍でさっぱり情報が得られないという事態に陥ってしまう。里穂子は、ハナと名乗るこの人物を単身追跡するうちに、無戸籍者たちが寄り添って暮らすコミュニティを見つけるに至る。そして、ハナの兄と名乗るリョウと出会うことで、迷宮入りの失踪事件「鳥籠事件」との接点を見つけるのであった。

小説のテーマとしては無戸籍というある意味扱いにくい社会問題に取り組んでいるところが勇気あるなあと思いました。本作のカテゴリーは…警察ものの人情ものなのかなぁ。ミステリーかと言われると、うーん?まぁミステリー?というのも、主人公やハナ、リョウや無戸籍の他の登場人物等の人物描写はいきいきとして優れているんですが、このもう一つの過去に起きた鳥籠事件との結びつきや解決までのプロセスが、鮮やかすぎるところにミステリーとしては、難があるような気がしてならないでした。主人公が人情家で悩み多き子育てマザーで、現場100回の脳筋で、本庁のエリート刑事ですら解けない過去の事件との結びつきを閃きで結んじゃう安楽椅子探偵ですので。万能すぎるしスマートで綺麗すぎる。それがなんともなー。私はどちらかというと、おんなじ女刑事ものでも樋口有介が書くような、飲んだくれの怠惰で一人息子への愛が重すぎて、社会に対して斜に構えている欠点だらけの中年女デカの方が人間味があって楽しいんですが~。

評価 ★★★☆☆・・・星三つ。無戸籍など難しい話に取り組んでいるのは好感。でも、刑事ものやミステリーとしてはちょっと物足りない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました