「Scratchで遊んでわかる!中学数学 ―数学をプログラミングでハックする」を読んだ感想

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今回の感想は、オライリーから一年ちょい前に出版された数学の都立高校入試問題をScratchで紐解いてみようという珍しい切り口の本です。興味をひかれたので、この年末年始やってました。

数学をしながらScratchで組むと結構くたびれるので、一日2~3個ずつ作っていったら、10日~2週間ほどかかりました。中学数学とはいっていますが、解の公式・三角関数・線形ベクトルなど高校で学ぶ内容を解いていますのでそれほど易しくはありませんでした。

よかった点は、Scratchというなんとなく「小学生が使うツール」というイメージが先行していて操作方法や機能について自ら深く学習しようという意欲がなかなかわきにくかったものを、学習する過程でこれまで使う機会のなかった数学関係のツール群を使いユーザー関数をいっぱい定義する機会があったところなどでしょうか。なんか少し習熟した気がしました。

本の内容については、例えば二次関数のグラフをスクラッチで組むことで、動的にグラフの形状を変化させて観察できるといったところが評価されるところだと思います。教科書の学びだけだとグラフの変化を頭の中で推測するか、紙に書き出して推測するかといったレトロなやり方で確認するかといった手法をとるしかないのですが、Scratchでこんなに簡単にグラフを組むことができるのなら(この本のやり方に沿って組むだけなら他の言語で組むより感覚的に組めたような気がする)、これで理解した方が視野が広がりそうな感じがしました。それこそ数学やプログラムを組むのが好きな子供がいたら薦めてもいい本かと。

プログラム的には、オブジェクトについて考える機会があるのとか、(多分)非同期処理をScratchで表現しているのが見られるのが面白かったです。

悪かった点は、中盤ぐらいから本の指示に従って組んでも本の様にはプログラムが動かないとか、この段階でその挿入画像はまだ早いとかこの段階の状況と一致しないとか、ここのパーツにこの段階では何か設定しておかないといけないんでは?(でも何も注意喚起されていない)といった感じで、出版元は本の内容どおりに組んで本当にそのとおりに動作するのか改めて検証しておく必要があると感じがしました(あちこち頭をかしげるような事起きるはずなのに出版社のHPには正誤表でてなかったです)。素人考えでは背景に使うグラフの画像に合わせて式を補正しているのが良くないような気がしました(この本に適した背景画像出版元で用意しておいてそれをアップロードして組み込むこととかできないのかなぁ)。もったいない。

あとは、Scratchの仕様なのでどうしようもないのでしょうが、ブロックを何重にも入れ子にして数式組むのって根気がいります。一通り組み終わって一般化するという感じで式の入れ替えを何度もするのですが、ブロックを外しそこなったり入れそこなったりして何度も苦労して作った式のブロックが崩れてイライラしました。また、一般化したユーザー定義関数をバックパックという機能に格納して使いまわしできるようにするというのは、とても便利でいいことを学べたと思いましたが、登録数が増えてくると(おおよそでしか)どれがどれだか分からないという点には、困りました(アイコンにマウスをのせたらコメントぐらいポップアップするようになってたらすぐ判別できるのにね)。

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