数日前「すずめの戸締り」を見てきました。新海作品らしい綺麗で楽しい感じでスタートした感じでしたが、終わりにかけてかなり重い展開なので感想としては複雑。ただ単純に楽しかった面白かったとは書けない感じです。津波のシーンこそ出てきませんでしたが、東日本大震災を思い出させるシーンを大画面と音響で見ている間かなり圧迫感を受けました。「随分センシティブな事に触れているな」「震災は過去の話なのか?触れていい内容なのか?」とかいう思いにふけりながら映画館を出てきました。
昨日のクローズアップ現代でも取り上げていますが、東日本大震災をどの程度体感しているかでこの映画に対する印象が違うと思いました。震災の後生まれた子や外国人など体感としての経験がない人にとっては、災害シーンを見ても「君の名は」や「天気の子」の様にある意味空想上の災害、過去の出来事として見られるのかもしません。また震災を西日本で体験した人と東日本で体験した人、関東と東北とでもまた印象が違うのでしょう。
あの日関東で震災を経験しましたが、普通の地震とは全く違うそれまで体験したことのない異様な地震で大きな揺れと地鳴りに驚かされたのにはじまり、(関東においては原発問題はあったが)なんとか落ち着くまで異常な雰囲気での生活が一か月近く続いたのを今でも昨日の出来事のように思い出します。
映画を見てて「これはアニメなんだと自分に言い聞かせようとしたんですが、どうしても抗えない」あの時の記憶とダブってしまいました。これがフラッシュバックというやつなんでしょうか。関東人でさえこうなんですから、東北の人にとってはもっときついんじゃないでしょうか。理屈抜きに刺さってくるので監督の意図する心を揺さぶるという目的は、少なくとも震災を強く体感した人には伝わっていると思います。琴線に触れる作品です。
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