真実の航跡(伊東 潤 著)を読んだ感想

真実の航跡
太平洋戦争中に起きた非道な捕虜殺害事件。 戦後、BC級戦犯裁判で浮かび上がった、驚愕の真実。 法の正義はどこにあるのか――。 一人の若き弁護士が、“勝者なき裁判”に挑む。圧巻の歴史小説! 昭和19年3月、大日本帝国海軍の重巡洋艦「久慈」は、インド洋でイギリス商船「ダートマス号」を撃沈。救助した捕虜を殺害した。 敗戦後、...

 法廷裁判物です。本の中では、架空の軍艦と架空の人物で舞台設定がされていますが、重巡洋艦利根で起きた実際の虐殺事件を参考にして書かれているものとしてイメージしたらいい感じ。

 ストーリーは、命令を出した司令官の中将(最終的な命令元は軍令部。ただし責任逃れをうまくしていて責任をとらせられない設定になっている)が、微妙な匙加減は現場でなんとかうまく処理するだろうという期待で取り次いだ捕虜の処分についての命令を、空気が読めない現場の艦長がそのまま文字通りの解釈で処分(虐殺)してしまうという意思疎通の失敗から始まります。

 主人公は戦時中に起きた捕虜虐殺事件で被告となった元中将を弁護する立場にあります。法廷裁判物ですので、法廷での駆け引きのはらはら感とかよみどころがいっぱいあって楽しかったです。

 また主人公の心理についても細かく書かれていて、どうゆう気持ちで勝ち目のない軍事裁判に臨むのかとか、被告の中将、イギリス人検事やサポートについているインド人の法務士官との心の交流についても丁寧に書かれていて雰囲気がよく伝わってきました。

 一方、いわゆる「空気を読む」という能力を組織人は強く求められるという日本の組織が抱える問題を、主人公を通して深く考察しているところなどは考えさせられました。

 結末部分も含めて全体を通して、日本人(それも組織に所属している人など)にはピーンとくるような感覚に訴えるようなところがあって、「つらいよね」といった気持ちになって涙ぽろりになりそうになるんですが、これ自分がイギリス人や中国人やインド人の読者でこの本読んでたら共感できるかぁ?とも思いました。立場が違えば全然見方が変わってきそうで日本人の自己陶酔じゃんという見方もできるそんな本でした。

★★★・・・星3つ。

 阿吽の呼吸とかチームワークとか同調圧力かけるのが好きな人なら星4つぐらいと評価するかも。私のようなどっちかというと空気読むの嫌いとか単独プレーが好きとか、言いたい事や伝えたいことは全部口に出して言うというのを好むような人なら星3つかな。理解は出来るが好かんというところ。

 

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