最近読んだ本の感想です。大崎梢さんの本が好きなので、表題の本を読みました。この本に対するアマゾンでのレビューがボロクソで、大崎作品が好きな私としては残念ですな。
率直な感想を書くと、この本賛否両論かと…。ネタバレしない程度にあらすじと感想をかいつまんで下に書いてみます。
四章編成の長編ミステリーです。最初は特に事件らしい事件も起きないハートフルストーリーなのかなと思うようなスタートを切るので勘違いしそうになりますが、一章のラストでああミステリーなんだなとわかる展開になります。
二章、いきなり主人公が交代します。「えええ!一章は短編であれで完結なのか」と、一瞬思っちゃいました。唐突です。ですが、じっくり読み進めるとぼんやりと二章の登場人物の中に一章の登場人物とつながりのあるキャラクターがいるので「ああつながってるのか」ということがわかります。あと、場所はあんまり変わらないのですが、時間軸の解釈があいまいで混乱します(この辺もギミックなのが大崎作品でありがちなパターン)。
三章でも主人公交代します。アマゾンレビューで酷評されるのが登場人物の多さと前章の登場人物との繋がりを把握しにくい点ではないでしょうか。ぼんやりとこの人とこの人は血縁なのかとか関係があるんだなとかは分かるんですが、紙にでも相関図を書いてみないとごちゃごちゃしてよくわからないです(またこの辺の曖昧さもギミックだったりするのであんま突っ込めない)。
四章で三章の主人公を中心として二章、一章を結び付けて、結末に向けてストーリーが急展開します。(この辺は埋蔵金探索の「宝の地図を見つけたら」とかに近いかな)
近年の作品にあるような、それぞれ独立した話に見える話を最終章でまとめなおして結論に至るという大崎作品のパターンを本作品も踏襲しているのは、ずーっと一連の作品を愛読している大崎ファンには分かるんですが(部分から始まったものが最終章で一個の話に再構築され、それを読者は俯瞰して眺め改めてはっきりした全体像を楽しむという)。大崎作品を読みなれているファンには受け入れられるのでしょうが、そうじゃない人にはとっつきにくい本なのかもしれません。
★★★☆☆…星三つ(大崎本のファンなら四つ星でもOK。ファンじゃないなら混乱するので低評価だと思う)
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