金魚鉢の夏(樋口 有介 著)を読んだ感想

少し間が空きましたが、最近読んだ本の感想を。

今とは少しだけ歩んだ道が違う日本のとある生活保護者収容施設を舞台に起きた殺人事件。元刑事を主人公に施設に隠された謎を解き明かすミステリー。

感想ですが、中盤に入るまではゆっくり話が進みますので、これミステリーなの?とか最初読んでて思いました。中盤から面白くなりますので気長に読んでいったらいいかも。

この話の特徴ですが、別世界線の日本では国力の回復を図るため、真面目に働かない人は収容施設送りになったり、犯罪者は全部硫黄島に島流したりとか、ついででいらなくなった刑務所も減らしてしまうとか、労働者の賃金ベースも一気に引き下げて製造業を呼び戻したりなど失われた20年で出来なかった(あるいはしなかった)改革を大胆にやって(ディストピアっぽいですが)復活した日本という設定があるところではないでしょうか。この設定が活きているのでなかなか面白い話になっている気がしました。

あと東アジアを中心とした外交的危機というのもベースにあるところも興味深かったです((初版は2014年に出ている(現在2022年3月))。

★四つ…★★★★☆ 世界観がユニークで面白い本です。難を申せば、ちょっと主人公が曖昧。元刑事のじいちゃんが主人公なんでしょうけど、視点が他のキャラクターの視点で語られるところがあって、散っちゃう。中盤まではストーリー展開がゆっくりなのでその辺もあって満点にはどうかなぁと。

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