
夢は枯れ野をかけめぐる (中公文庫)
四八歳、独身。早期退職をして静かな余生を送る羽村祐太のもとには、なぜか不思議な相談や謎が寄せられる。「老い」にまつわる人間模様を、シニカルな語り口と精緻なロジックで本格ミステリに昇華させた、西澤ワールドの一つの到達点。
ざっくりとまずあらすじを…。冷静で優秀なのだが苦しかった生い立ちからか、自分や人生というものをいつもネガティブに考えている主人公。会社のリストラをきっかけに50歳を前に早期退職した後、つつましく残りの人生どう生きていこうかと考えながら日々を過ごしていたが、とあるきっかけからそれまで疎遠になりがちだった近隣の懐かしい人たちとの付き合いが始まり…。といった展開で始まる(多分)ハートフルストーリーです。
アマゾンの紹介文にも書いてあるように、「老い」「孤独」「介護」「認知症」といったテーマがあり、40~50歳の読者層向けの話でしょう。若すぎればピンとこないし、70、80歳とかの方には、もう介護される側だし~とかなって共感できる範囲は限定されそう。
最初の章から終章まで、悩みを抱えている人と出会っては癒したり助けたして主人公は最後までいい人なんですが、根っこのところでどうにもネガティブなので折角好意を寄せてくれる人が現れても応じない。そんな主人公が物語の最後でどんな決断をして物語が終わるのか・・・興味がある人はご自分で読んでみてくださいね。
ストーリーとは直接関係しないですが、最終章はどうなのかな。ミステリー作家だからギミックいれたかったのか。でも、あの展開なら素直にストレートのまま終わらせた方がハートフルストーリーで終わってそれはそれで良かったんじゃなかろうかとも思いました。最後にひねったせいで話が若干ややこしくなっている気もします。
著者の西澤保彦さん10日程に亡くなられているんですよね。「夢の迷い路」シリーズ好きだったのでとても残念です。
星は・・・★★★★☆彡。四つ半。

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